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スッキリスト秘話(9)

こんにちは。23:00に、ずざざぁーっと滑り込み投稿する、スッキリわかる入門シリーズ 著者 兼 シリーズ監修担当の中山です。

2021年10月1日から11月末までの期間、株式会社インプレス(出版社)主催で開催されております『10周年感謝祭』も、残すところ1日となりました。

「感謝祭をやるらしい」という話を担当編集さんから聞いて、「せっかくなので当sukkiri.jpでも何かやりたいな」⇒「まぁ著者としてできることは製作舞台裏の暴露ぐらいか」というところまではすぐ思い至ったんですが、何を「軸」にすべきか...。そんな悩みに答えてくれたのが、今回10周年を記念して高田ゲンキ先生に書き下ろして頂いた、シリーズ各書中に登場するキャラクターたちでした。

そんな高田さんとはじめてお会いしたのは、スッキリJavaの製作当時、つまり今から11年ほど前でした。それから今日まで、「なろう系小説家に劣るとも勝らないスッキリ著者陣の拙いキャラ設定や世界観に姿をあたえ、命を吹き込む」という苦難を強いてしまっている1張本人としてはもう懺悔しかないわけですが、それぐらいこのシリーズにとって「キャラクターたち」は重要であり、その生みの親である高田さんは第2の著者的な存在として、シリーズ各書の奥付にも名前があったりします2

そんな高田さんを含めた私たち著者陣は、シリーズ各書中で展開される「キャラクターたちによる学びと成長の物語」を人形劇に見立てたとき、舞台下から棒を動かす黒子のような存在でしょうか。読者の皆様が、せっかく「本の中の世界」を楽しみ、奮闘しているところ、「本の外の世界の住人」が見え隠れするのもなんかイマイチ3ですので、シリーズ誕生当初から、原則として書籍解説中に「著者は〜」などの表記や著者の登場を控え、著者の影はなるべくお見せしないようにしています。

いや、これが「○○研究の第一人者 ××先生」とか、「○○技術で今をときめくトップエンジニア ××氏」とか、「○○解説の魔術師 カリスマ講師××さん」とかだと、隠しきれない存在感で大変だと思うんですが、まぁ幸い(?)中山なんて権威もオーラもない一般人なので、余裕で隠せちゃうわけですよ。

他のスッキリシリーズの著者も、

学者・有識者の方のように、24時間365日、その道の研究に没頭しているわけでもなく、
現役エンジニアの方のように、24時間365日、自ら技術を駆使して戦場を駆けているわけでもなく、
カリスマ講師の方のように、24時間365日、優れた解説と講義で経験を磨いているわけでもない、
そのうえSNSフォロワーもいないし、特にオーラもない、ただの人。

スッキリキャラ風味にすると、こんなかんじ4

ただ——

スッキリわかる入門シリーズがこの世にうまれ、ありがたくも10年もの期間にわたり、学び手の皆様に愛して頂けた理由は、まさに「そこ」にこそあるのかもしれないと思うようになりました。

著者らは、現在、とある小さな"IT人材育成企業5"に所属しているわけですが、この会社では社員が1つの部署だけに属し、「研究だけをすること」「開発だけをすること」「登壇だけをすること」「執筆だけをすること」が許されていません。

もちろん、開発なら開発だけ、登壇なら登壇だけをやるほうが、その分はやく習熟するし、ノウハウは貯まるし、「他の人には真似できない強み」が形成されやすいという点は疑う余地はありません。ただ、私自身も普段から、研究も、開発も、登壇も、執筆もするわけですが、だからこそ見えるもの、聞こえるもの、話せること、書けることがあるんです。

私たちが執筆で「湊」や「赤城」を生み出せたのは、登壇現場でたくさんの「湊くんたち」「赤城さんたち」に出会うことができたからなんです。

そんな学び手たちを襲う不安・苦しみを身近に感じ共感できるのは、私たち自身も、日々、新技術の研究開発で失敗を繰り返してるからでしょう。

そして、スッキリシリーズが入門書でありながら「実弾飛び交う実践現場」で役立つ武器を含んでいるのは、私たち自身が日々、開発現場で実弾浴びるなかで、せめて1人でも多くの学び手の方に、現場を生き延び、豊かなエンジニア人生を送って頂けたらと感じるからかもしれません。

一方で、私たちは「ややもすれば、どの分野も中途半端で役に立たない器用貧乏」に陥りがちという、致命的な弱点を抱えています。来る日も来る日も、剣術の練習をしている戦士と、来る日も来る日も黒魔法ばかり唱えている黒魔道士がいる手前、「剣術も、黒魔法も、白魔法も使える(ただし全部Lv5まで)」っていう赤い帽子に羽根付けたヤツは、Wikipediaに「器用貧乏」とか書かれちゃう上に、たいていゲーム終盤どころか中盤ぐらいにはお払い箱になっちゃうわけですよ。

だから、思うんです。

「Lv99の赤魔道士を目指さないとね6

って。

とはいえ、夢のLv99までの道のりは遠く、険しいもの。しかも1日の時間は24時間しかありませんから、「専業のエンジニア」や「専業の研修講師」と同じ時間・効率・意識で日々を過ごしていたら、それだけやっている人の1/3 〜 1/4の成長しかできないわけですし、あっというまに「ただの人」になってしまいます。

にも関わらず、全社員が「研究」「開発」「登壇」「執筆」のうち2分野以上(著者陣などは3分野以上)を掛け持ちしつつ、しかも「その各分野で、業界で一般的な現役レベル以上」の動きや成果を求められるあたり、著者らの企業のブラックさといったら社長の顔が見てみたいぐらいなわけですが、そんな過酷な環境でも、学び手の方の笑顔や成長する姿を目にすると、癒やされちゃったり、頑張れちゃったりして、気付いたらやっぱり"Lv99赤魔道士の高み"を目指してしまう...そんなちょっと変な人だからこそ、このシリーズで筆を執っているといえるかもしれません7

こんな私たちではありますが、10年間に及ぶ学び手のみなさま・指導者のみなさま・出版や編集に関わってくださったみなさま・日本全国に届けてくださった書店の皆様に少しでもご恩返しできるよう、これからもキャラクターたちが活躍する舞台裏で、しっかり励んでまいります。

スッキリわかる入門シリーズを、引き続きよろしくお願いします!!

ありがとうございました!

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