著者ブログ

スッキリスト秘話(2) 湊雄輔&朝香あゆみ 編

2021年10月8日

こんにちは、スッキリシリーズ著者のナカヤマです。

先週からはじまりましたスッキリわかるシリーズ10周年記念祭の裏で、編集長にバレないように副音声的キャラ裏話を毎週ご紹介するお時間がやってまいりました。

前回は、スッキリわかる入門シリーズで一番最初に生まれたキャラクター「菅原拓真」の裏話をご紹介しました。

スッキリスト秘話(1) 菅原拓真 編

こんにちは、スッキリJava著者の中山です。 スッキリわかる入門シリーズ10周年記念 編集長に隠れてこっそり副音声的にキャラ紹介スペシャル1、第一回は、「最初に生まれたスッキリキャラクター」であるこの ...

若干スピリチュアル方面に話がいきかけて、微妙に退きかけたあなたも今回のこのふたりは大丈夫。ぜひ、最後までお付き合い下さいませ。

湊 雄輔(22)1
株式会社ミヤビリンク
管理本部 人事部付

 

朝香 あゆみ(24)
株式会社ミヤビリンク
管理本部 人事部付

湊雄輔と朝香あゆみの出演作品



「消去法」と「アニメ」で決まった名前

前回、菅原拓真の記事で「湊というキャラクターは難産だった」と記述しましたが、実は、ふたりの名前の選定に関してはわりとスムーズでした。

細かくいうといろいろあるのですが、大方針として、読者の方の身近にいる人の印象がキャラのイメージに混じらないよう、「少し珍しい名字」を探しました。

学び手1(のちの湊)は、「1文字の名字にしよう」「姓名どちらにも通用する響きの名前にしよう」と決めていたので、Google先生の偉大なるお力添えの結果、「湊」という名字が比較的簡単に見つかりました(下の名前は重要ではなかったので、どのように決めたか、正直あまり覚えていません)。

一方、少し悩んだのは学び手2(のちの朝香)です。学び手1ほどの強い制約を考えていなかったので、「朝香」のほか、「只野」「鏑木」などいくつかの候補が残って迷っていました。

どれにしようかと迷った末、最後の決め手は、みなさんよくご存じの「あんたバカぁ?」のあの赤いツインテール2の女性が頭をよぎって、響きが似ている「朝香」に決定されたというのは、今日の今日まで秘密でした、ハイ。

あっ、あっ...いや、その...(ノ∀\〃)////
私が惣流さんが好みとか、そういうんじゃないですよ? 
(オロオロ) 3

そもそも私、実はアニメをあまり見たことなくて(ジブリ最初の3作ぐらい)。関西の大学を卒業し、就職で東京にいく時に、大学の同期に「東京は怖いところだから、エヴァぐらみておかないとイジメられるぞ」と謎の説得を受け、1回見せてもらったぐらいです。4

ただ、それでも惣流さんが頭をよぎったのは、学び手2というキャラクターは、「自信家である5」という性格設計が既になされていたためかもしれません。

まさにこんな感じ。(ちなみに、上記のスタンプは、感謝祭特設ページで入手可能です。)

「ふたりでひとり」な湊と朝香

でも先輩、どうして私と湊ふたりだったんですか? よく考えたら、私の方が頭いいし、飲み込み早いし、コピペうまいし、かわいいし... 私ひとりで十分だと思うんですけど。

学び手キャラが2名であることには、実は設計上の重要な理由があります。

今からおよそ10年前、「既存書と本質的に異なるアプローチの入門書が欲しい」と考えた著者らはまず、「学び手キャラ」が、以下のような責務を負うことを決め、大変重視しました。

著者が「学び手キャラ」に背負わせた責務


すこやかなるときも、病めるときも、「はじめてJavaというプログラミング言語を学ぶ人(読者)」と、一緒に机を並べて学ぶ「学友(戦友)」であること。

その責務が本書・本シリーズにとって極めて重要である理由はまた後述しますが、「ひとり」の学び手キャラクターでは背負いきれず、どうしても「ふたり」必要であるという点について、私たち著者には、また確固とした理由と自信がありました。

私たち著者陣は、プロのIT技術指導者として、よくお客様企業の研修に登壇します。毎年春は新入社員のみなさんと、長いと3か月や4か月ぐらい、毎日朝から晩まで一緒に過ごします。Javaの基本文法からはじまり、オブジェクト指向、途中でシステム基盤やったり、Web技術やったり、要件定義やったりして、最終的には自分たちだけで立派に1つのシステムを作り上げるところまで成長したところで、その背中をお見送りします。

定番の難所でどハマりして「自分、IT向いてないんでしょうか。」とうなだれる新人さんを業後に慰めたり、なぜかArrayListあたりでスランプに陥ってメソッドすら書けなくなった人の混乱を昼メシ一緒にたべつつ解きほぐしたり、大学時代に少し経験があるからとあぐらをかいていて聞く耳を持たない人には、「未経験者にあざやかに抜き去られる」経験をあえてしていただいたりと——ひとりひとりの興味・関心・スキル・体調・動機・その他の特性などを見ながら、ご本人たちがもっとも効率的に吸収できるルートを選んだり、たとえ話などを使うようにしたりと、まさにアジャイル&JITで進行をカスタマイズしながら、、、と、私たち講師も一緒に成長していく、とっても濃密な時間を過ごします。6

学び手一人一人との距離感・フィードバックサイクルの濃密さでいうと、大教室で教える大学の先生というよりは、小学校(特に低学年)の先生に近いと思います。実際、上記のような「ひとりひとりを見た、オートクチュールの伴走型指導」を行うため、一度に担当できるのはどうしても多くて40人ぐらいが限界でしょうか。

しかし、そうした近距離&濃密なフィードバックサイクルを通して、私たち著者は、「リアルな未経験者・入門者の方が、どうつまづくか、どのような解説はわかりやすいのか(逆に、どのような解説がわかりにくい・面白くないと感じるのか)」等の複合的な知識・経験を獲得し、それが「スッキリわかる入門シリーズ」の"学び手の設計"に生かされているわけです。

たとえば、私たちは、「Javaなどの技術の習得にチャレンジする人が成長していく過程で、その精神状態がさまざまに変化し、学習の進行にとても大きな影響を与えること」をつぶさに見て、感じています。学び手は、私たち「学び終えた人」が想像する以上に

プログラミングに挑戦し、成長する人の精神過程

  • ときに、ぜんぜんわからなくて途方にくれたり、弱音を吐いたり、Javaから逃げたくなる
  • ときに、一気に理解が進んだり、自信がでてきたり7、楽しくなったり、より発展的なことに興味がわいたりする

学び手によってそのタイミングは異なりますが、たとえば苦しくてモチベーションが上がらないとき、「大丈夫だよ。」といってくれる指導者がいたり、隣に「私なんて、もっとわかってなくて」「あ、俺またやっちゃったよぉ〜」という同僚がいることで、学び手のその後は大きく変わります。ちょっとわかってきたかもと感じたときに「バッチリやん!」といってくれる指導者がいたり、「私も、ちょっと面白くなってきた」「なぁ、これって応用すると○○とかもできんじゃね?」そんな会話を同僚とできることで、学び手は加速度的に伸びていきます8

だからこそ、スッキリわかるJava入門では、常に「苦しんでいる学び手を孤独にさせない」という役割を担う湊と、常に「学び手の自信に共感し、好奇心に応える」という役割9を担う朝香、このふたりが、常に両面から読者の方と一緒に物語を進めたり、気持ちを代弁をしていく必要があったわけです。

「ふたご」が難産だった理由

でも、このふたりが「難産」だったのは、きっともう一つ、ふたりが「大事な責務」を背負わせたからだね。僕としては少し寂しい理由なんだけど...

前述のように「学び手に寄り添う」という責務を背負った湊くんと朝香さんが、学び手と同じ立場で、学び手と同じように"疑問"や"つまづき"に直面し、そこに解決策を提示するサイクルをひたすら繰り返しながら学習が進展していく——この展開について、次のようなありがたいレビューを頂戴することもあります。

「初心者がつまづきそうなところで、キャラが先まわりして悩んでくれる。そしてそこに解説が差し込まれるから、わかりやすい。」
「ある技術を学び終えたところで、初心者が、「ってことは、○○はどうなるんだ?」などの次の疑問を感じ始めるところで、紙面のキャラが同じことを悩み始め、そこで先生が出てくる。」

これは著者が湊・朝香に与えたまた別の重要な責務、「適切な箇所・タイミングで、リアルの学び手がやるように、悩んだり、ありがちな失敗をしたり、新たな疑問を感じること」によるものです。それを起点として、先生が登場したり解説が進行したり、本書の学びは展開していきます。

ただ——、実はこれ、一歩退いて見てみると、この書籍の解説シナリオの"指揮棒"は、実は菅原さんではなく、湊くんと朝香さんが握っていることを意味します。

「スッキリ流」解説の本質

  • 一般的な技術書や専門書は、有識者(やその化体である先生キャラ)を主体として、読者に「教える」という構図となる
  • 「スッキリわかる入門シリーズ」では、著者や先生役ではなく学び手を主役として、その疑問や関心に対して、脇役の先生役が逐次「答える」「次の方向性を提案する」という構図を採る

そしてその構図が全16章にわたり「一つの流れ」として、途切れず、学び手の方がモチベを維持しながら10学習を進めていただくために、「どこで」「朝香と湊のどちらに」「どんな行動や発言をさせるか」、そしてその行為が入門者・未経験者として自然であるためにはどんなキャラクターであるべきか、どのような伏線を何章に仕込むかを逆算して設計・調整しなければならなかった——それが、湊と朝香が(菅原さんと比較して圧倒的に)「難産」だった背景です。

この「難産」の影響で出版直前まで修正が繰り返され、気づいたら第11校だったり11、気づいたら編集さん筆頭にスタッフみなさん出版社に泊まり込んだり、今思えば懐かしい限りです。

一方、「難産」だったが故に、この本は当初、とてもたくさんの誤植がありました12。「傷だらけで生まれてきた本」だったにもかかわらず、それでも読者の方々はキャラクターたち——特に湊と朝香のふたりを愛して下さりました。そしてこのたび、この子たちが10歳を迎えられたこと、本当にありがたいことだと実感します。

これからも湊・朝香のふたりは、学び手の皆さんと一緒に、悩んだり、失敗したり、ときに自信過剰になったりしながら、みなさんと一緒に成長していきます。

最後までお読みいただいた皆様へのお礼


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次回スッキリスト秘話「赤城ゆり&岬悠馬立花いずみ 編」は、10月15日公開予定です。

(10/15追記: 公開しました)

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