スッキリわかるJava入門

タウンページに学ぶ 本の「読みやすさ」

投稿日:2011年11月29日 更新日:

いつも温かい書評やコメントありがとうございます。こちらのポストでは、「高度な概念をわかりやすく伝えスッキリしていただくために、登場人物約1名を血祭りにあげたため、拙著『スッキリわかるJava入門』は厚み3.5cmのメタボ体型になってしまった」という言い訳をさせていただきました。

「でも、はじめての入門者に640ページは、ちょっと....。」

という声。大丈夫、ちゃんと届いてますよ。

人間は弱い生き物。だからこそいとおしい。私も「読者の方々が愛と勇気と根性だけで640ページを読まなければならないような事態」になることを、手をこまねいて執筆していたわけではありません。1

実際、「分厚いけど読み進めやすい」という書評をよく頂戴しますので、今回は「読み進めやすさと分厚さ」について検証してみることとします。

 

ジャンプとタウンページ

大きさの比較基準ならタバコ、面積の比較基準は東京ドームというのが世の習い。そして、本の厚さといえばジャンプとタウンページは外せません。密度の関係でタウンページの方が圧倒的に重く、武器防具としての性能も一枚上手です。しかし、国会図書館のデータによれば、近年のジャンプも500ページぐらいあり、それを通勤中のサラリーマンがさらっと読んでしまったりするわけです。

タウンページ500枚を読むというのは、もはや刑事罰にしてもいい2のではないかとも思える拷問であることを考えると、ページ数と苦痛との間には直接相関はなさそうです。

 

苦痛の原因

タウンページ。表向きは、電話番号が並んだ紙切れを束ねたもの。しかしてその実体は、電電公社が秘密裏に開発した「読破しようとする者の肉体と精神を容赦なく蝕む」リーサルウェポンだということが明らかになりました。3

ではその恐るべき破壊力はどこから生まれるものなのでしょうか。

徹夜で寝て5分で考えた末、私は以下の3つの結論に辿り着くことができました。

  1. 有用性:読者にとって、記載情報の有用性がない
  2. 関連性:記載情報は断片の集合であり、相互の関連や流れがない
  3. 雰囲気:ページ当たりの情報密度が高く、雰囲気もツンばかりでデレがない

これをJavaの入門書に当てはめて考えてみましょう。

自発的か、強制的か4はわかりませんが、プログラミング言語入門書を手に取った方には、入門書の内容に対する有用性は必ずあるはずです。

結局Java入門書の「精神破壊力の差」とはつまり、「関連性」と「雰囲気」によって決まると言えるでしょう。拙著には、この2点に周到な仕込みを行いました。

 

「流れ」があるものは読み進めやすい

多くの入門書は、それぞれの章で独立した内容を取り扱い解説を進めます。多少の前後関係や相互参照があったとしても、その解説内容や例示に関して基本的には1話で完結していることを考えると、15分で完結する話が複数並んでいる「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」に近いと言えるでしょう。

一方『スッキリわかるJava入門』では、それぞれの章で一応完結させつつ、もっと大きなくくりでも流れをうっすらと形成するように設計しました。湊くんのRPGづくりを軸として、16ある章の初めから終わりまでで一つの大きな流れを形成するように章立てをしています。これは26話で一つのストーリーが完結する「エヴァ」のようなものかもしれません5

エヴァを第1話から26話までとおして観た(観たい)という人には数名出会いましたが、ドラえもんを26話分続けてみたいという人には出会ったことがありません6。そのどちらが集中力を継続しながら楽しめるかといえば、よほどの方7を除いて物語が展開していくエヴァではないでしょうか。

 

「雰囲気」が良ければ、四角いものも丸く見える

この本が640ページもあり、特にオブジェクト指向に関しては比較的深い内容に踏み込んで解説していることを、いつの間にか忘れさせてくれるのが、高田ゲンキさんによるイラストです。そして私は自分の「幼稚園児レベルのおえかき」が編集さんとイラストの匠によって、劇的にリフォームされていく瞬間に立ち会いました。

なんということでしょう8。それまで判読すら困難な殴り書きが、匠の手によって命を吹き込まれました。

他のイラストに関しても、解説に沿って内容をいい塩梅に修正していただいたことも多く、「著者の解説の意図」を再解釈してもらった上でひとつひとつビジュアルにしてくださったなぁ(学び手に向けて、自分と一緒に解説をしてくれている)と感じます。特に概念系の説明においては、絵は大量の文字に勝る情報伝達能力を持つと感じますので、オブジェクト指向に関する解説に関しては大活躍しています。

絵柄や文章と絵の比率については好みが分かれるため、「読みやすさ」という観点では様々なご意見があるかもしれませんが、入門書としての「読み進めやすさ」という意味では、今回の雰囲気は大きく貢献してくれていると感じます。

 

今回のまとめ

「ページ数の違いが、読みやすさの決定的差ではないということを教えてやる」
という少佐の言葉はたぶん正しい。

 

参考

このブログ記事は、著者の個人ブログ(flairDays)から移転掲載されたものです。

 

  1. 問題ない。全て計画通りだ。
  2. 銀紙かみかみの刑と並ぶ有力候補だと思う
  3. それとはわからない形で一般市民の平和な日常生活にこっそり滑り込ませ日本全国津々浦々にまで配備した点や、軍団の若いのを使ってコマーシャルをうち安全お気楽イメージを演出しようとした点から考えても、国家的にかなり戦略的な兵器だと位置づけられていたと思われる。
  4. はたまた自発的という名の暗黙の強制によるか
  5. いいやあれではエヴァはまだ完結していない!むしろ序章にすぎない!というちょっと本筋からそれたアツいご意見は別途承ります
  6. 友達が少ないだけかもしれません
  7. 水田わさびファンか、水田わさびは認めないという大山のぶよファンか、ジャン・レノの水色スーツ姿がなぜかツボで萌えるという方
  8. ここでBGMお願いします

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