ひとりカウントダウン はじまる。
ども、来週15日に発売となる「スッキリわかるJava入門 第3版」の発売前見本1を眺めて、「いよいよか...」と感慨にふけっている著者の中山です。
ありがたくも、Java・C言語・Python・SQLと皆様に広くご愛顧いただいたスッキリシリーズですが、その原点とも言えるのが、2011年7月に発売された「スッキリわかるJava入門(初版)」。あれから8年(製作期間を含めれば9年)と考えると、本当にいろんな方のおかげで読んで戴けたんだなぁと、合掌でございます。
そこで、今回、三日坊主度には誰にも負けない自信がある著者中山が、発売前に改訂ポイントを毎日朝7時にお届けする2企画をやってみようと思いつきました! 題して、
スッキリわかるJava3版発売記念 著者によるひとりカウントダウン!
ひとつひとつの記事は短いかも知れませんが、発売日前日まで7日間、頑張って続けたいと思います!
記念すべきカントダウン初回は、今回の改訂で実施した3つの「大工事」の中でも最も大きな改訂をご紹介します。
令和版・スッキリ流オブジェクト指向解説
上でも書きましたが、そもそも「スッキリわかるJava」がこの世に誕生したきっかけは、「オブジェクト指向の概念がわかりやすい本があったらなぁ...」という想いからでした。当時は「クラスとは、メソッドとフィールドを合わせたようなもの」みたいな外形的解説の本が多くて、「よくわからない」という方や「実はわかってないけど使っている」という方がとても世の中に多かったことをエンジニアとしても研修講師としても肌身で感じていただからです。
発売当時(2011年11月)のブログ記事
そして実際、「スッキリわかるJava入門」という当時誰も見たことがない入門書を気に入ってくださったとすれば、このオブジェクト指向を解説している第II部(7〜13章)だったのかなと思います。
そんなスッキリの魂の原点ともいえる第II部が、令和流スッキリに、このたび大幅にアップデートしました!
第2版 | 第3版 | |
---|---|---|
第7章 | オブジェクト指向をはじめよう | オブジェクト指向をはじめよう |
第8章 | インスタンスとクラス | インスタンスとクラス |
第9章 | さまざまなクラス機構 | さまざまなクラス機構 |
第10章 | カプセル化 | 継承 |
第11章 | 継承 | 高度な継承 |
第12章 | 高度な継承 | 多態性 |
第13章 | 多態性 | カプセル化 |
一言で言えば、この第3版から、「オブジェクト指向三本柱の解説で、カプセル化が最後に回った」のです。
改訂の理由
なぜ、第3版からカプセル化を最後に紹介するようになったのか...。
それは、実際に毎年多くの皆さんの学習現場に立ち会っていて感じる、ここ数年の「変化」があったからです。
具体的には、この4〜5年で「低水準から積み上げるより、高水準から掘っていく」という学び方に相性が良い方が増加しているから。こちらのスッキリCの紹介ブログ記事にも書きましたが、特にここ数年での「学び手の頭の中の物事の捉え方・学ぶアプローチ」に変化があるように思います。
カプセル化って、3本柱の中でいうと、ある意味「最も単純で定型的(概念がほぼ伴わない)」んですね。単に4段階でアクセス制御やりましょうっていうだけですから、概念系が苦手な方でも比較的スムーズに学べて、「3本柱のうちの1つ、さっそくゲット!」という自信をつけやすいということで、もともと10章にあったんです。
ところが、ここ数年は「概念系を扱うことが得意な方」が増えていて、むしろ「カプセル化を最初に学ぶにしても楽しさを感じにくい」ように見えたり、学んだことを中途半端に使おうとして、その後の継承や多態性を学ぶ時に足かせになってしまう」という方が目立つようになった感がありました。
そこで今回、より高水準の概念から学習を進めて、最後にカプセル化を学ぶ編成に大改造を行いました。まずは継承や多態性といった、概念的で、楽しく、広がる学習を続け、最後にカプセル化という安全装置を学んで「締める」感じでしょうか。
なお、併せて同様の理由で9章で紹介していた静的メンバを第III部に移動したことをはじめ、全体的に解説の展開を調整しており、さらに読みやすくなったと思います。
令和の「スッキリ流オブジェクト指向解説」も、どうぞよろしくお願いします!